社会人の勉強には必須、忘れた!を防ぐ効果的な復習とは?

キャリアアップ

エビングハウスの忘却曲線

記憶に関してもっとも有名だが勘違いもされている



人はとにかく覚えたことをどんどん忘れていきます。

私もこの事に嫌悪感を覚えたことが何千回、何万回とあります・・・なぜ思い出せないのかと。

今回はこの記憶と時間に関する2つの科学的研究を紹介することで、『時間が経つと忘れる』という問題の解決につなげていきたいと思います。

1つ目は『エビングハウスの忘却曲線』です。

勉強をした人であれば聞いたことがあるかもしれませんが、ドイツの学者であるエビングハウスが発見したのが、記憶の忘却曲線と呼ばれるものです。

この忘却曲線というのは、数多くの実証研究の中から明らかになったもので、人の記憶力と時間の関係に関するデータです。

上の図は忘却曲線を表していて、横軸は時間、縦軸は記憶の節約率を表しています。

20分後には、節約率が58%

1時間後には、節約率が44%

1日後には、節約率が34%

6日後には、節約率が25%

1か月後には、節約率が21%



一点注意してほしいのは、この節約量というのは忘れる「量」ではなく、一度記憶した内容を思い出すのに必要な「時間(回数)」をどれだけ節約できたかを表しています。

一般的には誤解されていますが、単純に「20分後に58%の内容を忘れる」といったことではないのです。


エビングハウスの忘却曲線(節約率の計算方法)



例えば、最初に「わあり」などの文字を全部覚えるまでに20分かかり、1時間後に覚え直すと12分かかったとします。

この場合、最初の20分に対して8分短縮(節約)できたことになります。

この「節約できた時間や回数」と「1回目の記憶に必要だった時間や回数」を比べた比率のことを「節約率」と言います。

(節約率)

=節約された時間または回数÷最初に要した時間または回数

(節約された時間または回数)

=最初に要した時間または回数-覚え直すのに要した時間または回数

具体的な率を出してみます。

最初に●●●という単語を覚えるまでに10分を要し、20分後に覚え直すと約5分必要だったとします。

この場合、覚え直すのに最初と比べ、5分節約したことになります。

すると節約率は 5(節約された時間)÷10(最初に要した時間)=0.5= 50% となります。

また、最初に▲▲▲という単語を覚えるのに50回の書き取りを要し、1時間後に覚え直すのに22回必要だったとします。

この場合、最初に比べ28回分節約したことになります。

すると節約率は 28(節約された回数)÷50(最初に要した回数)=0.56= 56% となります。

エビングハウスの研究結果からも分かる通り、最初に覚えてから時間が経てば経つほど、思い出すことに手間・時間がかかります。


復習効果の実証(ウォータールー大学)

なぜ復習が大切と言われるか?



そこで出来るだけ早いタイミングで英単語を復習をすると負担が少なく・早く暗記することが可能となります。

つまり何をするかというと、勉強した内容を繰り返す…いわゆる『復習』です。

これが今回紹介する2つ目の科学的研究で、『カナダのウォータールー大学が、復習の効果を科学的に実証したもの』になります。

上の図の青い線は記憶です。

まず最初、何も知らなかったところから勉強をし、知識を得ます。

この時点では記憶は100%になります。

でも、そのまま復習せずにいると、青い線のように忘れていきます・・・まさにエビングハウスの忘却曲線と同様です。

ではどう復習したら知識が記憶できるかということですが、この図のピンクの線を見てみましょう。

まず、学習してから24時間以内に10分間の復習をすると、記憶率は100%に戻ります。

そして、何と次は1週間以内に、5分だけ復習をすれば記憶がよみがえるのです。

またその次は1か月以内に2~4分復習すれば、また思い出すのです。

要するにタイミングを間違えなければ、最大でもわずか19分の復習で1か月後も学んだことを忘れずにいられます。

ただ実際に勉強するとそんな簡単な訳でもない・・・という状況はありますが、いずれにしても一定の期間で復習するという勉強の仕方は有効になります。


社会人の勉強はより復習が重要

単純な記憶力は圧倒的に落ちている!?



勉強においては何を、どう覚えるか?ということも大切ですが、それ以上に重要なのがこの復習です。

その理由は『人は忘れる生き物』だからです。

そして社会人の勉強では、この復習がさらに重要になります。

残念なことに記憶力は若い頃と比較すれば圧倒的に落ちています…しかし、タイミング良く復習する事で補うことができる!というのが先ほどの復習効果の実証です。


仕事でも活きる定期的な復習



勉強の仕方には個人差がありますが、『定期的な復習の効果』は科学的研究にも裏付けられた有効な手段です。

例えばカフェインを取れば眠気が覚める・・・などは体のメカニズムに働きかけるものですので、個人差はありますが、一定の効果があるのと似たようなものです。

というよりまさに『論より証拠』で、実際に定期的な復習をして成功をおさめた方は多いのではないでしょうか。

ちなみにこの復習の仕方は、今の仕事でも実行しており、見に行った物件の情報についてはその日も調べますが、翌日、1週間、1か月後と振り返るようにしています。

これによっていつまでも見に行った物件の情報が一定の鮮度を保っており、お客様に自信を持って重要事項説明ができています。


エピソード記憶をアウトプット学習で実現

エピソード記憶を実践する2つの方法


定期的な復習だけでなく、社会人の学習はエピソード記憶をうまく絡めた方が良いのですが、エピソード記憶という仕組みをどのように勉強に取り入れていくのか?について少し説明いたします。

エピソード記憶とは覚える自体に何かのエピソードが必要という訳ではありませんので、実践する方法を2つ紹介致します。

1つ目は失敗するという事です。

2つ目は人に教えるという事です。


失敗自体がエピソードになる


皆さんも経験した事があるのではないかと思いますが、人は失敗を繰り返すことで物事を覚えていきます。

これは『失敗自体がエピソードになる』という事です。

失敗を繰り返すと学習効果がある・・・という1つの例に『迷路実験』と言われるものがあります。

この実験は要約すると迷路のスタートにネズミを置き、ゴールに餌を置いた場合、どのような動きをするかという実験です。

最初は失敗を続けますが、回数を重ねるごとに失敗数が減り、所要時間が短縮していきます。

そして失敗の度合いは強いほど印象に残りやすくなります。

私が受験生時代に一番強く記憶に残っている失敗は、模試でのミスでした。

それも一番重要な早稲田型の模試でのミスで、田信長と回答したことです。

おやっ?と思った方もいらっしゃるかと思いますが、ただしく田信長です。

得意な時代の、得意の人物の名前を間違えた・・・当時の私にとっては非常にショックが大きかった出来事です。

この模試の受験から長い年月が経っていますが、未だに覚えているのはそれだけインパクトが強かったという事です。

だからこそ模試の解き直し(自分が何を間違えたかを知る)をする事は重要なのですが、その話は他の回で説明しておりますので、ご参考にしてください。


失敗は問題を解く=アウトプットから生まれる


では失敗をどのように繰り返せばいいか(別に失敗すること自体が目的ではありません)といえば、『問題を多く解く事=アウトプット』です。

学習はインプットだけでは完結しません。

これは何度もお伝えしていますが、人は覚えた事を忘れるからです。

私は宅建のテキストで学習したら、すぐにその単元の一問一答の問題集を解くという形式で学習をしていましたが、これはアウトプットが目的です。

私は生徒が問題を間違えた時には、『よかったね、自分が何を覚えていないかが分かって』という声掛けをしていましたが、失敗が成功につながるのです。

模試の後に必ず復習するように伝えているのは、模試=大きなイベントです。

先ほどの私の例ではありませんが、印象に残る失敗をしてしまったようであれば、本番で得点を伸ばすうえではむしろチャンスなのです。


人に教えることで覚える

注目されるアクティブ・ラーニング


次に人に教えるという事についてお話します。

教育改革の中で、『アクティブ・ラーニング』という事が注目されています。

アクティブ・ラーニングとは従来の授業のように生徒が一方的に話を聞くのではなく、グループワーク・ディスカッションなど生徒が主体的に取り組む学習の仕方です。

この根拠として取り扱われるのが、『ラーニングピラミッド』というものであり、以下のような図を一度くらい見た方も多いのではないでしょうか。



これは学習の仕方とそれに伴う学習定着率の関係を表したものです。

これによりますと主体的な学習に取り組んだ方が、学習の定着率が高くなっています。

勉強を教えたことがある方なら、この感覚は何となくあるのではないかと思います。

ちなみに一緒に働いていた講師で、最後は必ず生徒に授業をさせるという事をしている講師がいました。

彼が個別指導で担当する生徒たちは、驚くほど成績が伸びる生徒でしたが、この生徒に教えさせるという経験がその背景にあったと思います。


教える事がきっかけで自分でストーリーを考える


定着率が高い理由としては、『そもそも自分が理解していないと人には教えられない』という事もあるでしょう。

ただこれはあくまで私の見解ですが、人に話が伝わる時(伝えるではありません)には、ストーリーを考えて、そのうえで話しているからではないかと思います。

自分でストーリーを考えていますので、意味記憶がエピソード記憶になります。

また『この試行錯誤していること自体がエピソード記憶』になっていきます。

私もよくそれだけ色々な事を話せますと言われますが、理由はシンプルで『インプットした事を、常に人に話す仕事をしているから』です。

塾講師としての授業、講演者として年間100回以上の学習セミナー、宅建士としての重要事項説明など常に人に何かを話すという仕事をしていました(このブログも誰かに伝えるという点では同じです)。

そして言い方は大袈裟ですが、教育も不動産購入も人生を左右する内容です。

そのため良質なインプットもですが、どうやったら相手により伝わるのか?という事を常に考えています。


人に説明できない場合の代替方法


仮に人に説明ができない場合でも、以下の方法で代替する事ができます。

①エアー(誰かが目のいると仮定する)で説明してみる

②それを動画で撮って自分で見てみる


これは今であれば後輩の宅建士に、自分が重要事項説明をした映像を見て改善するように言っていますが、効果は確実に出ています。

年齢や物事によって微調整をする必要はありますが、理由があるやり方は他でも転用がきくものです。

どちらもアウトプットという言葉に集約できますが、参考になる部分があれば日々の学習に活かしていただければと思います。


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