データを見れば合格への道も見えてくる
入試のデータ把握は最低3年分、理想は5年分
早稲田に逆転合格するためには戦略が必要です。
そして入試における戦略とは『合格点を取る』ことです。
早稲田大学の場合、合格最低点(入試で言う合格点とはこれにあたります)は大学が公表してくれています。
また各種予備校などがこのデータを見やすい形でまとめてくれていますので、活用してください。
合格最低点に限らず、入試のデータを把握する場合は、最低3年分、できれば5年分は見ましょう。
なぜかといえば、1年分ではその年がたまたまそうだった、というだけかもしれません。
また2年分では、両方の年の傾向がそれぞれ異なった場合、どちらを基に戦略を立てていいかがよく分かりません。
3年分見て同じ傾向が続いていれば、同じような傾向が続くと考えていいですし、傾向が変わっている年があっても平均値を対象にできます。
これが5年分にもなれば、大学入試を点で捉えるのではなく、線、つまり流れで捉える事ができるようになります。
早稲田大学の合格最低点
さて早稲田大学における各学部の合格最低点(一般入試)は50%台の後半から70%を越えるものもありますが、早稲田大学の合格最低点はたいだい60%の半ばです。
合格最低点をどの程度になるかで、試験のタイプを分けることができます。
早稲田大学の入試は、入試で一番よくあるパターンのタイプ①の試験です。
ちなみに東京大学(文理とも。理系の方がやや低い)や一橋大学、東工大の二次試験はこれが50%台になります。
早稲田大学同様、難関大学というくくりにはなりますが、国立大学であるこれらの大学はタイプ③で早稲田大学とは異なるタイプの試験です。
国公立大学は記述中心、早稲田大学はマーク中心と、問題の形式が異なる事など理由は様々あると思いますが、試験のタイプが変われば受け方も微妙に変わります。
このブログはあくまで早稲田大学の受験を題材としていますので、詳細は説明をしませんが、試験のタイプによって受験の仕方も様々という事だけご理解ください。
タイプ①(合格最低点が満点の60~70%)の試験の攻略法
タイプ①の入試を攻略する前提として、試験で出る問題には以下のような3タイプ(そしてその問題を解く方針)がある事を理解する必要があります。
②『差のつく問題』を取りこぼさない
③『難しい問題』は捨てる
早稲田大学においても基本的にはこの点数の取り方が有効ですが、以下の点には気を付けてください。
■あくまで早稲田大学の受験生にとっての難易(基本的にはレベルが高い)
早稲田大学を受験する人たちが対象ですので、一般的に差がつくと言われる問題と比べればレベルは高い問題になります。
一般的に難しいレベルにあたる問題が、差のつく問題になりますので、社会などでは細部まで抑えてください。
■科目間の難易があるので、科目によっては問題を解く方針が多少変わる
例えば人間科学部では英語が難しく、国語や選択科目(文系科目)はやや易しいという設定です。
この場合ですと英語の差がつく問題と、それ以外の差がつく問題では意味が違います。
ただどの科目でも大きく差をつけられると合格点を取るのは難しくなりますので、科目ごとの『取るべき問題』、『差のつく問題』、『難しい問題』に適した対策を打っていきましょう。
早稲田大学受験の独自ルール『成績標準化』による『得点調整』
成績標準化により科目間の難易度の差を是正
さてここまで合格最低点について説明していきましたが、早稲田大学には成績標準化(得点調整)という特徴があります。
基本的にほとんどの大学入試では、各教科の素点を足し合わせてそれを合計点とする一般的な方法を採用しています。
しかし早稲田大学では『成績標準化』と呼ばれる採点方法を実施し、『得点調整』をしています。
成績標準化は選択科目間の難易度の差を是正するために作られた制度です。
このため早稲田大学の入試では、自分の合計得点から得点が動きます(引かれる事が多い)ので、単純に合格最低点だけを目指して戦略を組み立てればいいわけではないのです。
具体的な数値を使って見ていきましょう。
例えば2019年度の早稲田大学・商学部の入試では、選択科目の受験者平均点(60点満点)は以下の通りです。
世界史・政治経済と数学で23点以上の点数差がついており、科目間の難易度の差による不公平が生じています。
仮に英語と国語の点数が同じ受験生がいて、世界史を選択した受験生の点数が平均点-10点の30点、数学を選択した受験生の点数が平均点+10点の26点とします。
この状態では平均点を下回っている日本史受験の生徒が合格、平均点を上回っている数学受験の生徒が不合格・・・と数学の受験生が不利な現象が起きえます。
こういった現象を防ぐために実施しているのが『成績標準化』による『得点調整』です。
早稲田大学は学部によっては全科目で得点調整
そして早稲田大学の場合はこれが選択科目だけでなく、学部によっては全科目で行われています。
【選択科目に成績標準化が適用される学部】 ■大学入学共通テストで課す科目が対象 政治経済学部(外国語「ドイツ語・フランス語」)、スポーツ科学部(国語または数学) ■それ以外 社会科学部、国際教養学部
つまり各科目の点数を単純に足すだけでは自分が合格するか分からない!というのが早稲田大学の入試の特徴などです。
ここで当然『どうすれば得点調整後の点数が分かるのか?』という疑問が湧くと思います。
残念ながら得点調整後の点数を計算する方法は公表されていません。
標準化後の点数を仮に計算してみるとどうなるか
これには諸説あるのですが、私が調べた一番ベーシックで分かりやすい計算式を紹介いたします。
標準化後の点数 = 配点の半分の点数 ー 受けた科目の平均点 + 自分の点数
これを先ほどの2019年度の早稲田大学・商学部(選択科目60点)の入試にあてはめてみましょう。
数学で50%(30点)取れた場合は、30点-16点+30点=44点です。
世界史で80%(48点)取れた場合は、30点-40点+48点=38点です。
こう見るとどうでしょうか。
50%しか得点できなくても、80%得点できた受験生をひっくり返せるのです。
このような状況ですので、早稲田大学を受験する場合、『数学ができる受験生は数学で受験する』という戦略が成り立ちます。
このあたりは、『自分の置かれている状況』と『進学先に合格する条件』の2つをよく意識して戦略に活かすという良い事例です。
【2021年の入試分析はこちらから】
標準化への対応として目標点を高めに設定する
他にも様々な計算方法がありますが、いずれにしても真相は分かりません。
こういう場合は、目標を合格最低点を高めに設定して戦略を立てます。
目安としては『1.1倍』で、仮に合格最低点が90点であれば99点に設定します。
合格のために重要となる『合格最低点からの逆算』という手法が、他の大学とは異なりますので、それを踏まえてご自身の学習に取り入れてください。