宅建独学合格!判決文が簡単に解けるようになる独自問題 ②抵当権

宅建に独学合格

宅建は独学で合格できますが、独学だけは対策しづらい分野もあります。

その1つが判決文です。

判決文はその場で解けばいいだけの問題も多く、簡単に得点源にできるのですが、司法界独自の文の書き方のため、正直分かりづらいです。

判決文は解き方を意識して回数をこなせば、ほぼ必ず解けるようになります。

市販の予想問題集を買うことも有効な解決方法なのですが、それだけは足りないという方向けに独自問題を作成しましたので、宅建独学合格のためにお役立てください。


判決文・独自問題

1から4までの記述のうち、下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)

抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において,その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は,当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても,民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たると解するのが相当である。なぜなら,同項は,抵当権
者に対抗することができない賃借権は民事執行法に基づく競売手続における売却によってその効力を失い(同法59条2項),当該賃借権により建物の使用又は収益をする占有者は当該競売における買受人に対し当該建物の引渡義務を負うことを前提として,即時の建物の引渡しを求められる占有者の不利益を緩和するとともに占有者と買受人との利害の調整を図るため,一定の明確な要件を満たす占有者に限
り,その買受けの時から6箇月を経過するまでは,その引渡義務の履行を猶予するものであるところ,この場合において,滞納処分手続は民事執行法に基づく競売手続と同視することができるものではなく,民法395条1項1号の文言に照らしても,同号に規定する「競売手続の開始」は滞納処分による差押えを含むと解することができないからである。


1  抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者で、競売手続の開始前から使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

2  抵当権者に対抗することができない賃借権は、競売手続における売却によりその効力を失う。

3  抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において、その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は、当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても競売手続の開始前から使用又は収益をする者に当たらない。

4  滞納処分手続は民事執行法に基づく競売手続と同視することができるものではなく、競売手続の開始は滞納処分による差押えを含むと解することができない。


基本知識

抵当権に関する問題ですので、まずは基本的な考え方をおさえましょう。

金融機関から融資を受けて不動産を購入する場合は、ほぼ確実に抵当権を設定されます。

抵当権の設定がない場合は、債権者が複数いる場合、債権額の割合に応じて平等に弁済を受けられます。

抵当権の設定がある場合は、抵当権を有するもの(この場合はA)が他の債権者に優先して弁済を受けられます。



抵当権の設定登記後に設定された建物賃貸借は、原則として抵当権者に対抗できません(賃借権を登記して、賃借権の登記前に登記をしたすべての抵当権者が同意をし、その同意の登記がある場合は対抗できる)。*下記参照



抵当権の設定登記後に設定された建物賃貸借で、競売手続開始前からその建物の使用・収益をしていた賃借人等については、その抵当権が実施された場合に、買受人の買受の時から6か月は建物の明渡が猶予されます。*下記参照


ではこれらの基本知識を踏まえて、問題を解いていきましょう。


解答解説

1  抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者で、競売手続の開始前から使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。 → 

基本知識の中で見てきた建物明渡しの猶予です。よってこの選択肢は正しい内容が書かれているのですが、念のため本文で指定されている条文(民法第395条)も確認しておきましょう。

第395条

1 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
2  抵当権者に対抗することができない賃借権は、競売手続における売却によりその効力を失う。 → 

抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において,その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は,当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても,民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たると解するのが相当である。なぜなら,同項は,抵当権
者に対抗することができない賃借権は民事執行法に基づく競売手続における売却によってその効力を失い(同法59条2項)
,当該賃借権により建物の使用又は収益をする占有者は当該競売における買受人に対し当該建物の引渡義務を負うことを前提として,即時の建物の引渡しを求められる占有者の不利益を緩和するとともに占有者と買受人との利害の調整を図るため,一定の明確な要件を満たす占有者に限
り,その買受けの時から6箇月を経過するまでは,その引渡義務の履行を猶予するものであるところ,この場合において,滞納処分手続は民事執行法に基づく競売手続と同視することができるものではなく,民法395条1項1号の文言に照らしても,同号に規定する「競売手続の開始」は滞納処分による差押えを含むと解することができないからである。

上記のように本文に書いてありますので、これは正しい内容ですが、念のため本文で指定されている条文(民法第59条)も確認しておきましょう。

第59条

1 不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。

2 前項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない不動産に係る権利の取得は、売却によりその効力を失う。
3  抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において、その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は、当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても競売手続の開始前から使用又は収益をする者に当たらない。 → ×

抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において,その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は,当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても,民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たると解するのが相当である。なぜなら,同項は,抵当権
者に対抗することができない賃借権は民事執行法に基づく競売手続における売却によってその効力を失い(同法59条2項),当該賃借権により建物の使用又は収益をする占有者は当該競売における買受人に対し当該建物の引渡義務を負うことを前提として,即時の建物の引渡しを求められる占有者の不利益を緩和するとともに占有者と買受人との利害の調整を図るため,一定の明確な要件を満たす占有者に限
り,その買受けの時から6箇月を経過するまでは,その引渡義務の履行を猶予するものであるところ,この場合において,滞納処分手続は民事執行法に基づく競売手続と同視することができるものではなく,民法395条1項1号の文言に照らしても,同号に規定する「競売手続の開始」は滞納処分による差押えを含むと解することができないからである。

上記のように本文は真逆の内容が書かれていますので、この選択肢は誤っています。よってこれが正解の選択肢です。

4  滞納処分手続は民事執行法に基づく競売手続と同視することができるものではなく、競売手続の開始は滞納処分による差押えを含むと解することができない。 → 

抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において,その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は,当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても,民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たると解するのが相当である。なぜなら,同項は,抵当権
者に対抗することができない賃借権は民事執行法に基づく競売手続における売却によってその効力を失い(同法59条2項),当該賃借権により建物の使用又は収益をする占有者は当該競売における買受人に対し当該建物の引渡義務を負うことを前提として,即時の建物の引渡しを求められる占有者の不利益を緩和するとともに占有者と買受人との利害の調整を図るため,一定の明確な要件を満たす占有者に限
り,その買受けの時から6箇月を経過するまでは,その引渡義務の履行を猶予するものであるところ,この場合において,滞納処分手続は民事執行法に基づく競売手続と同視することができるものではなく,民法395条1項1号の文言に照らしても,同号に規定する「競売手続の開始」は滞納処分による差押えを含むと解することができないからである。


上記のように本文に書いてありますので、これは正しい内容です。


今回もお読み頂きありがとうございました。

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