宅建は独学で合格できますが、独学だけは対策しづらい分野もあります。
その1つが判決文です。
判決文はその場で解けばいいだけの問題も多く、得点源にできるのですが、司法界独自の文の書き方のため、正直分かりづらいです。
ちなみに私も元々は大嫌いでした。
しかし、回数をこなすうちに「こんなに簡単なの!?」と得点源にすることができました。
回数をこなすためには、直前予想模試を2冊購入すれば、最多で4回分×2冊の8回分ができますので、まずはそちらをおススメします。
ただ、もっと解いておきたい…というニーズはありますので、このブログでも何回かに分けてオリジナル問題を出題します。
そしてただ問題を出して解説をするだけではなく、宅建の基本知識も分かりやすいイラストを作りましたので、ご参考にしてください。
判決文・独自問題
1から4までの記述のうち、下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
再転相続人である丙は,自己のために乙からの相続が開始したことを知ったからといって,当然に乙が甲の相続人であったことを知り得るわけではない。また,丙は,乙からの相続により,甲からの相続について承認又は放棄を選択し得る乙の地位を承継してはいるものの,丙自身において,乙が甲の相続人であったことを知らなければ,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することはできない。丙が,乙から甲の相続人としての地位を承継したことを知らないにもかかわらず,丙のために乙からの相続が開始したことを知ったことをもって,甲からの相続に係る熟慮期間が起算されるとすることは,丙に対し,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障する民法916条の趣旨に反する。
以上によれば,民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。
1.相続人は相続を承認するか放棄するかの選択権が認められている。
2.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
3.再転相続人は、自己のために相続人からの相続が開始したことを知ったからといって、相続人に相続があったことを知り得るわけではない。
4.再転相続人の熟慮期間の起算点は、再転相続人が自己のために相続人からの相続が開始したことを知った時である
解答解説
以前、判決文の解き方についてまとめましたので、そちらも参考にしながら解説を行っていきます。
判決文で最も難しい問題は知識+読解力がないと解けない問題ですが、この問題は正解となる選択肢については本文を読めば判断できます。
再転相続人である丙は,自己のために乙からの相続が開始したことを知ったからといって,当然に乙が甲の相続人であったことを知り得るわけではない。また,丙は,乙からの相続により,甲からの相続について承認又は放棄を選択し得る乙の地位を承継してはいるものの,丙自身において,乙が甲の相続人であったことを知らなければ,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することはできない。丙が,乙から甲の相続人としての地位を承継したことを知らないにもかかわらず,丙のために乙からの相続が開始したことを知ったことをもって,甲からの相続に係る熟慮期間が起算されるとすることは,丙に対し,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障する民法916条の趣旨に反する。
本文においても記述はありますが、財産相続は土地やお金の相続といったプラスの面だけではなく、借金などのマイナス面もあります。
そのため相続人は相続するか(承認)、しないか(放棄)を決めることができます。
よってこの選択肢は正しいことが書かれています。ちなみに承認には財産も借金なども全て無条件に承認する単純承認と、借金などのマイナスの財産の弁済を引き継いだプラスの財産の限度内で行う(弁済に自分の財産を使う必要がない)限定承認があります。
相続の基本的な内容ですので、以下に内容をまとめます。
これは本文には書かれていませんが、相続の基本知識です。
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、単純承認、限定承認、または相続放棄をしなければならない」と定められています(民法915条1項本文)。
そしてこの3ヶ月の期間のことを熟慮期間といいます。よってこの選択肢は正しいことが書かれています。
再転相続人である丙は,自己のために乙からの相続が開始したことを知ったからといって,当然に乙が甲の相続人であったことを知り得るわけではない。また,丙は,乙からの相続により,甲からの相続について承認又は放棄を選択し得る乙の地位を承継してはいるものの,丙自身において,乙が甲の相続人であったことを知らなければ,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することはできない。丙が,乙から甲の相続人としての地位を承継したことを知らないにもかかわらず,丙のために乙からの相続が開始したことを知ったことをもって,甲からの相続に係る熟慮期間が起算されるとすることは,丙に対し,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障する民法916条の趣旨に反する。
と本文にもありますが、常識で考えてもそりゃあ~そうだろ!です。よってこの選択肢は正しいことが書かれています。
以上によれば,民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。
当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時です。
自己のために相続人からの相続が開始したことを知った時ではありません。
ややこしいので整理をしてみます。
仮に相続の順番が祖父→父→本人であれば、本人が父からの相続が開始を知った時ではなく、父が祖父の相続について承認又は放棄をしなかった相続(熟慮期間に亡くなった場合)における相続人としての地位を、本人が承継した事実を知った時です。
誤っている内容が書かれていますので、これが正解の選択肢です。
知識がなくても本文に書かれている内容が正しいのか、誤っているかで判断できる問題でした。
実際の宅建でもこういった問題が多いので、問題の出され方に慣れていきましょう。
今回もお読み頂きありがとうございました。
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