こんにちは坂上です。
異なる3つの業界でNO1営業マンになったことがあり、億単位の営業や無形サービスも売ってきました。
平成29年就業構造基本調査の結果(総務省)によれば、販売従業者(営業)は800万人以上います。
どうやったら結果を出すことができるのか?営業を行った人であれば、誰もが悩む大きな問題です。
営業で結果を出すために必要なのは何でしょうか。センス?豊富な人脈?異常な活動量?どれも正しい要素です。
私はある物事で結果を出すための一番の近道は、『人の真似をすること』だと考えていますが、センス・人脈・活動量などはそう簡単に真似する事はできません。
『人の真似をすること』でてっとり早いのはすでに型になっているもの、いわば教科書から学ぶことです。
社会人が大変なのは、この教科書がないことなのですが、営業においては業界をまたいで使える型がいくつかあります。
そのうちの1つが『心理学を使ったアプローチ』です。
私も教育・不動産・ITと全く違った業界で営業をしてきましたが、この心理学を使ったアプローチはどの業界でも使える方法だという事を感じています。
勘違いして欲しくないのは、これはお客さんを騙すやり方ではありません。あくまで商品を選ぶのはお客様であり、商品がお客様にとっていいものにしていくことが大前提にあります。
しかし、いいものであれば売れるのか?であれば必ずしもそういうものではなく、お客様の購入を促進するのが営業の仕事であり、その1つが『心理学を使ったアプローチ』なのです。
この『心理学を使ったアプローチ』は私の営業の師匠から教わった方法でもあるのですが、そのいくつかを具体的な事例を一緒にご紹介します。
①返報性の原理(法則)を理解する
誕生日プレゼントをもらった時、年賀状をもらった時、バレンタインデーでチョコをもらった時…何を考えますか?
「お返ししなければ!」ではないでしょうか。これが返報性の原理(法則)で、人から何かしらの施しを受けたとき、「お返しをしなくては申し訳ない」というような気持ちになるという心理作用のことです。
具体的には4つの種類がありますが、簡単に言えば、「やったことは返ってくる!」という事です。
いわば心理学を使った営業の基礎の部分です。この後の営業手法でも、この考え方が出てきますので、必ずおさえておきましょう。
以前このブログで取り上げた、新入社員がすぐに褒められる!簡単にコミュニケーション能力が向上する14個の方法、もこの考え方がベースにありますので、ご参考にしてください。
②一貫性の原理(法則)を理解する
人が自分の言動や行動を一貫したものにしたいと考えることを一貫性の原理(法則)といいます。
営業が上手い人はこの心理をうまく使っています。
ちなみに私の場合はこれを『お客さん自身の言葉で営業させる!』と言っていました。実際決めるのはお客さん自身ですので、このやり方は売られた!という感覚を持たれずに営業が進められるのです。
実例①
~塾の営業場面~
営業「小学校時代は、どちらの塾に通われていましたか」
顧客「○○塾です」
営業「あの塾ですか!入るの難しいですよね。ご自宅からも結構遠いですよね」
顧客「効果があるものにはお金をかけますので」
営業「(商品説明後)いかがでしょう。お子さんも体験授業に満足されてますが?」
顧客「そうですね」
営業「では入会の手続きについてお話します」
顧客「はい、どうぞ」
と、いいものにはお金を払う=この商品はいい=この商品にお金を払うという流れを作っていきます。
実例②
商品がいい!と思わせても、結果が出ない営業の特徴としては「今はいらない」という回答にカウンターが打てないことです(本当に今求めていない可能性もあるので、注意すること)。
~塾の営業場面~
営業「お子さんの勉強の課題は何だと思いますか?」
顧客「数学に苦手意識があるようなんです」
営業「その学習の課題をいつまでに解決したいですか?」
顧客「今中学2年生なんですけど、新学年になる前には」
営業「ちなみにその課題解決が早くなったらどうされますか?」
顧客「それは早ければ早い方がいいですね」
営業「今からお伝えするのは課題解決を早める方法です」
とあらかじめ断られる理由を遮断してから提案に入ります。そんなにうまく行くのかよ!?と思うかもしれませんが、効果がありますので試してみてください。
③ドア・イン・ザ・フェイス
ドア・イン・ザ・フェイスは、返報性の原理を活用した営業方法です。本来の提案を通すために、まず断られるような大きな提案をしてみて、そこから小さな提案(本来の要求)をするという方法です。
断って当たり前だろ!というような要求でも、断ることで申し訳ない気持ちになったりして貸しを作ることができます。その状態で、ハードルを下げた提案をすることで承諾を得やすくなるという方法で。
実例
~塾の営業場面~
営業「成績を上げるなら5教科の受講をお願いします。支払いは1年間一括です」
顧客「(5教科の受講で1年一括の支払い、高いな)う~ん…」
営業「では英語と数学の受講から、月々のお支払いではいかがでしょうか」
顧客「(それぐらいならいいか)申し込みます」
という感じです。この営業の注意点は、最初に明らかな過剰要求をすると顧客との信頼関係が壊れることです。そこで重要なのは、最初の大きな提案も、後から行う本来の提案も具体的な根拠を示すことです。
例えば上記のケースでは、「過去の合格者のデータから、1番確実に合格しているのは5教科受講です」と言います。
そしてその後で「まずは英語と数学を3か月受講して、ペースがつかめたタイミングで5教科にしていった生徒も、同じくらい合格しています」などと言いうのがポイントです。
④フット・イン・ザ・ドア
フットインザドアとは、まず簡単なお願いを受け入れてもらい、徐々に要求水準を上げて本来の目的を受け入れてもらう方法で、ドアインザフェイスとは逆です。
これは②で紹介した「人間は自分で決めた法則を最後まで守りたがる」という一貫性の原理(法則)を使った営業手法です。
実例
~塾の営業場面~
営業「早稲田に行きたいならセミナー参加してはいかがでしょうか。無料です」
顧客「参加します」
営業「この後の個別相談に参加してはいかがでしょうか。無料です」
顧客「参加します」
営業「早稲田に入りたいならこういう勉強の仕方が有効です(塾の営業)」
顧客「(やった方がいいな)」
化粧品、健康サプリなどの営業で、最初に無料で商品・サービスを提供するというやり方をよく見ますよね。とにかく最初のハードルを下げることで「YES」を積み重ね、最終的な目的を達成することにつながていきます。
⑤ゴルディックス効果(松竹梅の理論)
同じものを売っていても方法によって劇的に結果が変わることがあります。それがこのゴルディックス効果とも呼ばれものですが、分かりやすく言えば『松竹梅の理論』です。
これは皆さんも見た事があると思いますが、松竹梅の理論とは、異なる価格帯の商品を3つ松、竹、梅と3つ用意すると、真ん中を選びやすくなるというものです。
これを極端の回避性なんて言い方をするのですが、「松のコースは高い」「かと行って梅の商品はパッとしない」と極端に価格の高いものや、極端に質の悪いものを回避する心理のことです。
実例
~不動産の営業場面~
営業「お客様のご要望にあった物件はこの3つです」
(3000万円、6000万円、1億円の3つの物件を提示)
顧客「(う~ん、6000万円かな…)」
この場合一応3つとも見に行くのですが、だいたい真ん中のものに決まります。というよりそのお客様に合ったものを真ん中に置いておきます。
注意点としては、あまりにも差を作り過ぎると露骨になってしまう(真ん中を売りにきてるな)のと、それぞれのメリット・デメリットを提示することです(3つともあなたの希望に合っている)。
そして運よく一番高いのものを買ってくれた、ないしは全く買う見込みがなかったのに、一番安いものが売れた!のようなケースも起きますので、この営業手法は是非実践してみてください。
⑥マッチングリスク意識
マッチングリスク意識とは商品を購入する時に、自分に合わなかったらどうしようと不安になる心理現象を指します。リピーターには起こりづらいのですが、初めて購入する商品であればほぼ確実に起こります。
特に高額な商品や無形商材など実際にサービスを受けてみないとわからない商品ではかなりの確率で起こります。
このマッチングコスト意識への対応としては、お試し商品(期間)を用意する方法や、返金保証をつけることなどが効果的です。
実例
~不動産の営業場面~
顧客「中古の不動産って建物大丈夫ですか?」
営業「購入して2年以内に○○が起きたら、弊社が無料で工事をします」
顧客「買ってすぐに空室が出たら収入が減りますよね(投資用マンション)」
営業「購入して半年以内に空室が出たら、弊社が家賃保証します」
実際にこういった保証が起きるような事態はほぼないのですが、商品の性質によってはこういったサービスをつけるだけで売れ方が変わります。
これは営業だけで出来ることではないかもしれませんが、顧客の不安を商品に活かすのも営業の役割ですので、提案ができるポジションにある方は提案することをおススメします。
まとめ
心理学を使った営業の仕方を6つを、私が実践してきた営業方法とあわせてご紹介をしてきました。
営業はコミュニケーションの1つですので、新入社員がすぐに褒められる!簡単にコミュニケーション能力が向上する14個の方法のブログについても一緒に見て頂くと効果が高まります。
特に返報性の原理(法則)は、コミュニケーションの取り方と一緒に使用することで、よりいい結果につながります。
これらはあくまで営業のベースですが、ここを意識するだけでも数百万人いる営業担当の中から頭1つ抜けてくると考えていますので、是非トライしてください。