条項は増えたがベースは変わらない
改正点の第2弾は錯誤です。
これも改正点うんぬんの前に錯誤とは何か?がよく分かっていなければ意味がありませんので、最初から説明していきます。
改正前と改正後の条文
まずは改正前と改正後の条文を見ていきましょう。
【改正前】
【改正後】
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
そもそも錯誤とは何か??
錯誤とは簡単に言えば勘違いの事です。
勘違いでも契約は契約だろ!と考えるかもしれませんが、勘違いさえなければ契約をしなかった・・・という人は保護されるというのが基本的な考え方です。
例えば土地を複数持っていて、上記のように、伊勢崎(群馬県)の土地を売るつもりで伊勢原(神奈川県)の土地を売ってしまうと言い間違っている場合です。
これは意思表示に錯誤がありますので、取消ができます。
従来は無効だったのですが、勘違いした本人しか無効の主張ができなかったため、実質は取消と同じではないか!?と以前から言われていました。
それをこの民法改正のタイミングで改めたという形になります。
表意者に重大な過失があれば取消できない(例外あり)
錯誤があった時には保護されますが、重要な過失があった場合はどうでしょうか?勘違いしたからやーめたが頻発していたら、世の中の取引は成り立ちません。
そこで表意者に重大な過失があった場合は、2つの例外を除いて取消ができません(=相手方を保護する)。
取消ができる1つ目は相手方が表意者に重大な過失がある事を知っていた、または重大な過失があり知らなかった場合です。
そして2つ目は相手方が表意者と同じ錯誤に陥ってた時です。
動機の錯誤
これまで条文にはなかった動機の錯誤が明文化されました。
イラストを見て頂けると分かりますが、これは買うものと意思表示が同じです。
しかし、リニアが通る土地というのが買う理由であり、これを動機の錯誤と言います。
この動機の錯誤は原則取消ができません。
これはある意味当たり前で、動機=人の頭の中までは読み取れませんので、買った後に、「買う理由を勘違いしてからやーめた」では世の中の取引が成り立ちません。
これが原則なのですが、例外は動機が表示されていた場合で、取消ができます。
間違えた!第三者がいる場合はどうなる?
詐欺のところでも扱いましたが、第三者がいる場合はどうでしょうか?
要するにこれもどちらを保護するのか?の問題なのですが、第三者が善意・無過失の場合は取消を主張できません。
大きく変わっているように見えますが、今までの判例などが明文化された内容が多い分野となります。
今回もお読み頂きありがとうございました。
【その他の内容の確認はこちらからどうぞ】
↓さしつかえなければ応援のクリックをお願い致します↓↓