遺留分は金銭のみで支払う
遺留分制度は相続の内容ですが、宅建において相続は頻出範囲です。
改正初年度の令和2年の宅建では充分狙われそうですので、今回は遺留分を取り上げます。
まずは法定相続分を理解
被相続人(死んだ人)は、遺言で相続分を指定できますが、指定が無い時は法律で定められた取り分を相続人は相続します。
この取り分を法定相続分というのですが、遺留分を理解するうえでは、法定相続分を理解する必要があります。
例えば、3,000万円分の遺産がある状態で相続が発生したとします。
まず配偶者と子の場合ですが、配偶者が½で子が½ですので、上記のように配分されます。
次に配偶者と直系尊属(父母・祖父母)の場合ですが、配偶者が⅔で直系尊属が⅓ですので、上記のように配分されます。
次に配偶者と兄弟姉妹の場合ですが、配偶者が¾で兄弟姉妹が¼ですので、上記のように配分されます。
遺留分はこの知識を踏まえたうえで、覚えていきましょう。
遺留分とは??
例えば上記のイラストのように、遺言で長女にのみ遺産が相続されることになったとします。
この場合、配偶者や長男はどうなるのか?ということなのですが、一定の遺産をもらえる…この取り分を遺留分といいます。
もう少し詳しく説明すると、遺留分とは、相続人に最低限確保されるべき権利のことで、直系尊属は相続財産の⅓で、それ以外は相続財産の½が遺留分になります。
例えば、先ほどの状況で遺留分はどうなるか?といえば以下のようになります。
配偶者は相続財産の½×½(自分の取り分)で¼、長男は相続財産の½×½(2人の子供の取り分合計)×½(自分の取り分)で⅛です。
改正前は遺留分減殺請求
遺留分を具体的に計算したのが、上記のイラストになりますが、配偶者は遺留分に対して2,000万円、長男は1,000万円不足しています。
そして改正前の民法では、この不足分を遺留分減殺請求という形で請求する事ができました。
しかし、これではイラストのように財産を不動産で相続した場合などは、共有状態になり、その不動産の処分や利用に大きな制約を受けることとなります。
改正後は遺留分侵害額請求
この状況を踏まえて、改正後の民法では、遺留分返還方法については、遺留分減殺請求という形ではなく、遺留分侵害額請求(遺留分を侵害された額に見合うだけの金銭を請求することの出来る権利)としました。
そしてまとまった額の金銭を準備するのは現実的には大変ですので、遺留分侵害額請求を受けた人が、金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができるようになりました。
相続関連には、その他の改正点もありますが、大きな改正点であるこの部分をおさえておきましょう。
今回もお読み頂きありがとうございました。
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