通勤中にスマホで宅建学習の第2弾です。
制限行為能力者の範囲はこの10年で5回出題されています。
丸ごと1問出題!というより、他の分野と絡めて出題されることが多いので、以下のポイントはおさえておきましょう。
①制限行為能力者が契約を行った場合はどうなるか?
②保護者の権限
③第三者の保護
無効と取消しの違いに注意して覚える
制限行為能力者とは??
行為能力とは、単独で有効な法律行為のことを言いますが、世の中にはそれができない人もいます。
例えば未成年者などが該当しますが、行為能力が不十分で、法律行為を制限される人のことを民法では制限行為能力者という制度で保護しています。
制限行為能力者とは、未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人の4種類があります。
制限行為能力者には、保護者をつけるとともに、制限行為能力者が1人でした行為については取り消すことができます(保護者だけでなく、制限行為能力者自身も取消しを主張する事ができます)。
意思能力とは??
ちなみに行為能力と似たような言葉で、意思能力というものがあるのですが、これは自分のした法律行為を判断できる能力のことです。
例えば、泥酔した人は意思能力がありませんが、これらの人を意思無能力者といいます。
そして意思無能力者の意思表示による法律行為は無効です。
民法改正のところでも扱いましたが、取消しではなく無効ですので、制限行為能力者とは区別して覚えましょう。
それでは制限行為能力者についてそれぞれ見てきましょう。
制限行為能力者
未成年者
未成年者とは20歳未満の人をいいます。なお未成年者が結婚した場合は、成年者と同じ扱いになります。
未成年者の保護者は親(親権者)ですが、親がいない場合は(未成年)後見人が保護者になります。
親権者や後見人には同意権・取消権・追認権・代理権があります。
未成年者が契約をしても取り消しができない場合
未成年者が契約をしても取り消しができない場合は、以下のようなものです。
また婚姻した場合は成年者と同じ扱いになりますので、取り消しはできません。
被成年後見者
被成年後見人は事理弁識能力を常に欠く者で(判断力がほぼ0)+家庭裁判所による後見開始の審判を受けた者です。
そして保護者は成年後見人です。
先ほどの未成年者との違いでいうと、成年被後見人は保護者の事前の同意があっても取り消すことができます(判断力がほぼ0のため同意通りの行動ができない)。
もっと簡単に言えば同意権がないということです。
成年被後見人が契約をしても取り消しができない場合
ただスーパーなどで買い物も取り消してしまうと日常の生活ができなくなります。そこで日用品の購入などは取り消すことができません。
また被成年後見人の利益を守るために、保護者といえど成年後見人が居住している建物または敷地の売却は、家庭裁判所の許可が必要になります。
被保佐人
被補佐人は事理弁識能力を著しく欠く者で(判断力が極めて小さい)+家庭裁判所による補佐開始の審判を受けた者です。
先ほどの被成年後見人との違いでいうと、被補佐人は保護者の同意がなくても契約をすることできます。
保護者は保佐人と言いますが、取消権・追認権・同意権があり、裁判所から代理権付与の審判がなされた場合は、代理権も得ることができます。
被補佐人が契約をしても取り消しができない場合
被保佐人は不動産の売買や、土地について5年・建物について3年を超える賃貸借契約など法律の定める重大な行為で、保佐人の同意を得ないで行った行為は取り消しが可能です。
逆にそれ以外の行為の場合は、取り消しはできません。
被補助人
被補助人は事理弁識能力が不十分な者で(判断力が小さい)+家庭裁判所による補助開始の審判を受けた者です(本人以外の請求により補助開始の審判をする場合は、本人の同意が必要)。
保護者は補助人といいますが、被保佐人と比べると判断力がありますので、4つの権利については家庭裁判所の審判があった場合に認められます。
特にややこしんが言葉も似ている保佐人と補助人ですが、私は「保佐」はにんべんがある、つまり人のサポートが必要と覚えました(補助にはにんべんがないので、自分一人でできる)。
被補助人が契約をしても取り消しができない場合
被補助人が行った行為で取りせないものは、かなり限定的です。
法律の定める重要な行為のうち、補助人の同意が必要かどうかを審判で決定します。
そしてこの審判で決定した行為に限り、補助人の同意を得ないでした場合には、後から取り消すことができます。
保護者の権限まとめ
保護者の権限をまとめると上記のようになります。保護される人がそれぞれがどのような状況なのか?を理解しておくと、なぜその権利があるのか(あるいはないのか)が分かります。
制限行為能力者の相手方の保護
契約というのは相手あってのことですので、相手方の保護も考える必要があります。
相手方は1か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます(催告権)。
そして催告権への対応は以下のようになります。
また制限行為能力者が行為能力者と信じさせるために詐術を用いた場合は、契約を取り消すことができません。この場合は相手方を保護する方が合理的ということでしょう。
制限行為能力者は4つのパターンがあり、それぞれによって対応方法が変わります。
1つ1つの意味を理解しながら覚えると、その違いが理解できますので、イラストも参考にしながら覚えて頂ければと思います。
今回もお読み頂きありがとうございました。