宅建受験生の実力は大きく変わる
模試の問題と正解率で受験生の今の実力が分かる
宅建は残り1か月からでも大きく実力が変わります。
その根拠は宅建模試と試験本番で似たような問題が出た時に、本番では正解率が上がっていることです。
例えば以下の問題は模試で出題されたのですが、正解率はどのくらいになるか?を問題を見ながらお考えください。
ア 不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主Aが当該契約に係る意思表示を詐欺によるものとして適法に取り消した場合、売主Aは、その旨の登記をしなければ、当該契約の取消後に当該不動産を買主Bから取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。 イ 不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主Aが当該契約を適法に解除した場合、売主Aは、その旨の登記をしなければ、当該契約の解除後に 当該不動産を買主Bから取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。 ウ 取得時効の完成により乙不動産の所有権を適法に取得した者は、その旨を登記しなければ、時効完成後に乙不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
物権変動の問題を解くポイントは●●の前なのか、●●の後なのかという所です。
そして●●の後の場合は、いずれも登記を備えている方が所有権を主張できます。
という事はア・イ・ウいずれも正しい選択肢になりますので、正しいものが3つあるというのが正解になります。
これはこの単元においてはかなり基本的な内容となり、この内容が記載されていないテキストはまずないでしょう。
ではこの問題の正解率はどのくらいでしょうか?
60%?50%?40%?… 正解は約37%です(受験者数は約4,000人)。
個数問題とは言え、超・基本的な内容が問われている問題で37%しか正解できていません。
ではこのタイプの問題が本番ではどの程度の正解率になるのか?を見ていきましょう。
宅建本番の問題と正解率
1.Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。 2.AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。 3.Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。 4.AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
この問題の正解率ですがいつものLECさんのデータでは、全体68.4%(合格者にいたっては79.1%)です。
なお、合格者と不合格者の差が大きい問題で50問中の第4位の問題でした。
個人的にはこちらの問題の方が、先ほどの模試の問題より考える点が多いと思っているのですが、正解率はこちらの問題の方が30%以上高くなります。
比較対象者は変わりますが、ここまで正解率に差が出るのは、残りの時期で一気に勉強して実力が大きく伸びる事の表れだと思います。
攻めるのか?それとも守るのか?
合格の確率を上げるか?落ちる確率を下げるか?
残りの期間で一気に実力が伸びますので、宅建本番まで残り1か月の時間の使い方は非常に重要になります。
試験というものは暗記に頼る部分が0になる事はありませんので、最後の最後にどれだけ覚えられるか(忘れないようにするか)は合格するうえでは非常に重要です。
ここから新規で勉強を始める!という人でない限りは、1周目ないしは2周目が終わるなど、ある程度は学習が進んでいるはずです。
そのためここからの期間は、本番での得点にいかにつながる勉強をするか?という視点がより重要になります。
まず残りの時間で何をするか?は2つのタイプに分けられます。
それは合格する可能性を上げるのか?落ちる可能性を下げるのか?という事です。
少し考えれば分かるのですが、40点前後取れている生徒と、30点前後の生徒では勉強の仕方(いわば戦略)が違います。
この違いを踏まえずに直前期だから●●の学習をする・・・というような一律の勉強の仕方は、合格から遠ざかってしまう勉強方法のため推奨できません。
30点前後の人はとにかく得点を伸ばす学習
まずは30点前後の人ですが、このままいけば合格できません。
そこで必要になるのは合格点(仮に35点)を取るためには、あと5点をどうやってとるか?という視点です。
これは当たり前と言えば、当たり前なのですが、すでに30点前後が取れるようになっていれば、ただ闇雲に勉強しても点数は伸びません。
私の手元にある平成28~30年度の受験生データでは、6割以上の受験生が30点までは取れています。
残りの時間を適切なところにつぎこめば、彼らも合格できた可能性がありました。
そしてこの自分が時間をつぎ込むべき内容は人によって変わります。
この伸ばすべきところがどこなのか?を把握するのが、過去問であり、直前予想模試です。
それを踏まえて、例えば得点源の宅建業法で15点未満であれば、宅建業法でまだまだ伸ばせます。
それ以外にも難易度の低い(かつ重要度が高い)問題で落としているようであれば、とにかくそこを徹底的に勉強していきます。
法令上の制限など暗記すれば得点できる内容を最後に残している人は、それ以外の部分で合格ラインにのるように学習しましょう。
40点前後の人は今の得点を維持する学習
40点前後の人で、一番やってはいけないのはさらに点数を伸ばそうとして、あまり出題されない論点を追求する事です。
年度にもよるのですが、宅建で40点以上取れる受験生は少ないのです(昨年のように平均点が上がった年度でも1割以下と推定)。
1点でも高い点数で合格してやる!という考えも尊重されますが、資格試験ですので合格すればいいと私は考えています。
これが合格ラインの35点前後であれば、まだまだ確実とは言えませんので、点数を伸ばすために覚える事を重視します。
しかし40前後の点数を常に取れていれば、すでに合格ラインに乗っていますので、無理をする必要はありません。
細かい論点を気にしている間に、得点できていた内容を忘れてしまえば本末転倒です。
というより40点からの1点の上積みをするのは、30点から1点の上積みをするのとは比較にならないくらい大変で、いわゆるコスパが悪い学習になってしまいます。
ここまでくれば新しい事を無理して覚えるというよりは、自分の失敗する時のパターンを把握し、それを潰していきましょう。
例えば以上なのか、超なのかで間違える事がある・・・というようであれば、そこが弱点ですので意識して覚えましょう。
最初の方に難しい問題が出るとペースがつかめないまま時間が過ぎてしまう・・・というようであれば、とにかく解く順番を意識しましょう。
こうする事で自分が失敗する可能性が下がる、つまり実力がそのまま発揮できますので合格できます。
30点前後までしか取れていない人の方が絶対数としては多いと思いますので、このあたりの点数の壁になっている部分については別途お伝えしたいと考えています。
今回もお読み頂きありがとうございました。
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