【宅建の合格率UP】残り1週間で間に合う判決文の解き方

宅建に独学合格

こんにちは、坂上です。

宅建に独学合格、そのメソッドを活かして、毎年宅建受験者の支援をしています。

宅建の判決文問題はあまり見慣れない書き方で書かれている事もあり、苦手としている方も多いと思います。

初めから捨ててかかる人もいますが、よく読んでみると非常に簡単な場合もあります。

というより慣れさえすれば、知識がなくても解ける一番簡単な問題では!?というのが私の感覚です。

他の問題を解くためには知識が必要ですが、判決文には知識不要の問題も多いのです。

実は非常においしい問題ですので、過去の問題を事例にその解き方を紹介します。

1時間の勉強で確実に1点を取れる解き方をマスターしましょう!!

令和元年の判決文の問題についてはこちらから

読めば解ける判決文(平成30年)

問題


判決文にもいろいろなタイプがありますが、一番簡単なのは文章を読めばそのまま解けるケースです。

平成30年・問8

次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)

賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、(中略)その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。

 

1.賃借物件を賃借人がどのように使用しても、賃借物件に発生する損耗による減価の回収は、賃貸人が全て賃料に含ませてその支払を受けることにより行っている。

2.通常損耗とは、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する。

3.賃借人が負担する通常損耗の範囲が賃貸借契約書に明記されておらず口頭での説明等もない場合に賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになる。

4.賃貸借契約に賃借人が原状回復義務を負う旨が定められていても、それをもって、賃借人が賃料とは別に通常損耗の補修費を支払う義務があるとはいえない。

選択肢を見てから本文(判決文)を読む


これは国語(現代文)の問題と一緒なのですが、選択肢を見てから本文を見る事が有効な解き方です。

このタイプの問題の解き方は、特定のキーワードが本文ではどのように扱われているか?を見ることで正誤の判断をする事です。

ではまず選択肢にあるキーワードを確認しましょう。

2.通常損耗とは、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する。
3.賃借人が負担する通常損耗の範囲が賃貸借契約書に明記されておらず口頭での説明等もない場合に賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになる。
4.賃貸借契約に賃借人が原状回復義務を負う旨が定められていても、それをもって、賃借人が賃料とは別に通常損耗の補修費を支払う義務があるとはいえない。

次に本文(判決文)を読んでみましょう。


賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗(選択肢2の説明)に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになる(選択肢3の説明)から、賃借人に同義務が認められるためには、(中略)その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要である(選択肢4の説明)と解するのが相当である。


選択肢2~4までは、本文の中に分かりやすく書いてあります(正しい選択肢)。

という事は残りの選択肢1が誤りなので、この選択肢が問題全体の正解となります。

誤っている部分は太字の内容です。

1.賃借物件を賃借人がどのように使用しても、賃借物件に発生する損耗による減価の回収は、賃貸人が全て賃料に含ませてその支払を受けることにより行っている。


本文には、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。

社会通念上の使用をした場合とありますので、どのように使用してもというのが誤りです。

このあたりは常識で判断やこれまでのキーワードで判断する!という経験が生きてくる部分でもあるかと思います。

この本文(判決文)を読めば全部解ける!というパターンが一番解きやすいので、まずはこの基本的な解き方を覚えましょう(選択肢のキーワードを本文で見つける)。


読めば解ける判決文(平成29年)

問題

平成29年・問3

次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)

共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。

 

1.共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。

2.AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。

3.DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。

4.GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。


これは本文を読めば解ける問題ですが、選択肢のキーワードを確認していきましょう。

2.AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。
3.DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできない(選択肢3の説明)が、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできない(選択肢2の説明)と解するのが相当である。


選択肢2は、判決文に書いてある通りなので正しい選択肢になります(承認しなかった共有者はB、第三者はCと置き換える)。

そして選択肢3は、判決文には主張する事ができない、と書いてありますので真逆の結論です。

この選択肢が誤っていますので、問題全体の正解は選択肢3になります(承認しなかった共有者はE、第三者はFと置き換える)。


読解力+知識が必要な判決文(平成28年)

問題

平成28年・問9

次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)

契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。(中略)上記のような場合の損害賠償請求権は不法行為により発生したものである(略)。

2.信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、損害を被っていることを買主が知らない場合でも、売買契約から10年間行使しないときは、時効により消滅する。

3.買主に対して債権を有している売主は、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害陪償請求権を受働債権とする相殺をもって、買主に対抗することができない。

4.売主が信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった場合、買主は、売主に対して、この説明義務違反を理由に、売買契約上の債務不履行責任を追及することはできない。


これが判決文では最も難しいタイプの問題、読解力と知識がないと解けない問題です。

しかもこの問題では、知識がなければ判別できない問題が、正解の選択肢になっています。

このタイプの問題は、選択肢のキーワードを読んで本文から探すというだけでは解けません。

このタイプの問題は本文において何を言っているか?をまとめないと問題を解けません。


本文において何を言っているか?をまとめるとは


では再度、判決文を見てみましょう。

契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。(中略)上記のような場合の損害賠償請求権は不法行為により発生したものである(略)。


ポイントとなる部分を太字にしましたが、端的に言えば、きちんとした説明がない状態で契約し、損害を被った場合、債務不履行ではなく不法行為によって損害を受けたと考えるという事です。

つまりこれは判決文の形をしていますが、不法行為に関しての知識が問われる問題だと判断をします。

この問題のポイントは、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった、の部分を不法行為という言葉に置き換えられるかです。


実際にはどのように解くか?


1つ1つの選択肢を見ていきましょう。

1.信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主(=不法行為)に対する買主の損害賠償請求権は、買主が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により消滅する。


太字は不法行為を意味しますので、不法行為の時効は?と聞かれている問題です。

つまり知識がないと解けないのですが、これは損害及び加害者を知った時から3年間で合っていますので、正しい選択肢になります。

3.買主に対して債権を有している売主は、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主(=不法行為)に対する買主の損害陪償請求権を受働債権とする相殺をもって、買主に対抗することができない。


太字は不法行為を意味しますので、不法行為の債権は相殺できるのか?と聞かれている問題です。

これも知識がないと解けないのですが、不法行為の債権は相殺できませんので、正しい選択肢になります。

4.売主が信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった場合(=不法行為)、買主は、売主に対して、この説明義務違反を理由に、売買契約上の債務不履行責任を追及することはできない。


太字は不法行為を意味しますので、不法行為においては債務不履行責任を追及できないという問題です。

これは本文に書かれている事で解けるため知識は不要で、本文によれば正しい選択肢になります。

ということは残りの選択肢2が誤っている選択肢になり、これが正解となるのですが、具体的に見ていきましょう。

2.信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主(=不法行為)に対する買主の損害賠償請求権は、損害を被っていることを買主が知らない場合でも、売買契約から10年間行使しないときは、時効により消滅する。


太字は不法行為を意味しますので、不法行為の時効は?と聞かれている問題です。

不法行為の時効は20年間ですので、10年間では消滅時効を迎えていません。

よって、この選択肢は誤りと判断できます。

このタイプの問題は読解力もさることながら、知識がないと解けない問題です(不法行為の基本知識)。

ただし、これは不法行為の事を聞いている問題だ!と判断するには読解力が必要な問題です。

読解力と基本知識の両方を問われる問題は、今年の試験でも出題される可能性がありますので、よく対策をしておきましょう。


判決文まとめ

基本的には読解力だけで解ける


これより前の平成25~27年度の判決文の問題については読解力だけで解ける問題です(ただし、知識があった方がもっと解きやすい問題)ので、ほとんどが読解力だけで解ける問題が出ていると言えます。

ここまでくると判決文は、ほぼ読解力で解けるということがお分かりいただけるかと思います。

単に嫌いだからといって解かないのは非常にもったいない、むしろぶっつけ本番でも解ける可能性がある唯一の問題パターンです。

しかし試験というのはこの1問を解けばいいのではなく、決められた時間の中で、どれだけ多くの問題を解けるのか?が問われます。

判決文は他の問題より読むのに時間がかかるため、読解力に頼り過ぎると、時間を必要以上に使ってしまい、他の問題にも影響が出る可能性があります。

そこで時間の短縮に有効なのは、知識での判断と形式への慣れです。


形式への慣れは直前予想模試(問題)が有効


知識での判断は、日頃の学習を続ける事で出来るようになりますが、形式に慣れるためには、一定量の問題を解く必要があります。

過去問は一問一答形式であれ、分野別であれ、これまでの学習の中ですでに解いてきている可能性が高いです。

そこで有効なのが直前予想模試(問題)です。

他の問題であれば、過去問を参考に自分自身でも小テストのような問題を作れますが、判決文の問題を自分で作れる人はかなり少ないと思います。

判決文はここ数年は必ず出ている問題形式ですので、直前予想模試には取り入れられています(直前予想模試については取り上げていますので、参考にしてください)。


これを解く事で、形式への慣れだけでなく、自分の現時点での読解力も分かります。

読解力さえあれば解ける!という事はお伝えしていますが、逆に言えば読解力がなければ解けません。

たまに何度やっても解けるようにならないタイプの人がいますので、そういう場合は捨てるという判断にもなります。

このように良く出るところは、特に直前予想模試での対策が有効になりますので、是非実践を積み重ねてください。


判決文は誤っているものが正解の選択肢になりがち


宅建は問題によって正しいものを選ぶのか、誤っているものを選ぶのかが偏る問題があるのですが、判決文は誤っている選択肢が正解になる可能性が高いです(過去10年で9回は誤っている選択肢が正解 )。

令和元年 → 誤り

平成30年 → 誤り

平成29年 → 誤り

平成28年 → 誤り

平成27年 → 誤り

平成26年 → 正しい

平成25年 → 誤り

平成24年 → 誤り

平成23年 → 誤り

平成22年 → 誤り


判決文であれば、誤っている選択肢を見つける問題になる可能性が高いので、(時間ない時には)明らかに誤っている選択を見つけられれば他の問題を飛ばす!などができます。

問題文も選択肢も長い問題ですので、いざというにはこういった解き方が使える!というのは精神安定剤になります。

あくまで予備知識ではありますが、判決文を解く時の参考にしてください。


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